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心は叫んでるのに 19

ここへきて、ようやくイベントらしきことが・・・。

心は叫んでるのに 19

二人で団地まで歩く。最後に会ったときのことがうやむやになってしまいそうなほど、穏やかだ。

「さっきのコンビニで通販の支払いしたじゃない? 

振込み用紙の名前のとこで店員さんが一瞬目を止めてたのよー 失礼よね?」

「気にしすぎなんじゃねえ?」

敷地内に入っていくと、足拭きマットをぱんぱんしているおばさんがいた。

「こんばんは」

マコトが声をかける。

「あら マコトちゃん」

おばさんはふと俺に目を留めると

「あなた・・マコトちゃんの彼氏だったの?」

と言った。・・・なんで俺を知ってる?

「やだー よかったわー ケーサツ呼ばないで」

「は?」

「この前の夜 ずーっとここに座ってたでしょ?ヘルメットもかぶってたし

 ストーカーじゃないかって主人と言ってたのよー」

うわっ!おばはんっ!何を言い出すんだ?!

「おばちゃん・・この前っていつ?」

「ホラ クリスマスイブよ!

 ケンカして締め出されちゃったんでしょ? 仲直りしたのねー」

・・・バラしやがったよ。

「もうケンカしちゃダメよー」

おばさんは足拭きマットを持って行ってしまった。

くそババア・・。マコトには知られたくなかったのに・・・。

「あんなの人違いだな・・っ 行こうぜ」

慌てて言い繕うけど、バレバレだ。

「うん・・」

マコトは表情を硬くして黙ったままだ。くそババアっ!さっきまで、あんなに穏やかだったんだぞ?!

引っ張るようして部屋に連れて行き、中に押し込む。

くそ・・絶対バレてるな。女々しいヤツだって思われてるよ。確かに、ストーカーっぽかっただろうけどさ・・。

「寒いな・・なんか コーヒー飲みてえ・・」

この期に及んで話をそらそうとする。みっともない。

「うん・・淹れるね・・」

でも、俺が女々しいストーカーのようなヤツだってことも・・わかってもらわないといけない。

膝に手を乗せて、面接を受ける学生のようにリビングで座っていた。

コーヒーを持ったマコトが隣に座る。

「上着・・掛けようか?」

「あ・・うん・・寒いから・・」

「ホント?」と、マコトはエアコンの設定温度を上げている。

いや、違うんだ。脱げないわけは・・・ポケットに・・。

「来てくれたんだね・・カワサキくん・・会社は・・?」

「ああ・・その・・会社には間に合うように・・帰ったんだ・・」

「ごめんね・・あたし・・」

「いや・・あの・・連絡しなかったから・・あの・・いたらいいなあくらいで・・

 ちょっと・・寄ってみるかって感じで・・あの・・」

上着を着たままで暑いのと、緊張でヘンな汗までかいてきた・・・。

まるで、初めて一人で外回りの時のようだ。カッコ悪りー・・。だせーよ、俺。女々しくてカッコ悪いストーカーだ・・。サイテーだ。キモイって思われてるよ。

「ごめんなさい・・あんなことしたのにあたし・・なんで・・?」

「え・・俺・・あの・・プレゼント 渡してなかったから・・」

上着のポケットから、渡せなかった小さな箱を出す。ずっと内ポケットに入れてたから、あったまってリボンもぐちゃぐちゃだ。

「遅くなって・・悪かったな・・」

差し出す小箱をマコトが両手で受け取ってくれた。やっと、俺は上着を脱ぐ。

受け取ってくれた・・・。

「開けていい?」

「うん・・」

箱の中から出てきた指輪の、ウソもんのダイヤよりキレイな涙がマコトの目からこぼれ落ちる。

「・・・ありがと・・」

「ウソもんだから・・」

「うれし・・」

喜んでくれた!

カッコ悪いストーカーからのクリスマスプレゼントを、喜んでくれたんだ。

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