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朝めしクロワッサン 22(ドアは開いているのか?)

「それで身を引こうと思ったとか?」

「…ううん がんばって まっとうな人間になろうと思ったのよ」

水商売でちゃんと子供を育て生活してる人はたくさんいる。だが、さよりにはそれができなかったのだ。

酒を飲めば何もかもがどうでもよくなる。自分が手を掛けなくても孝政はちゃんと育っているようだし、今、この店を出た途端、車に轢かれて死んでもかまわない。そんなふうに思ってしまうのだ。

酒が抜けると、一人前に母親として自己嫌悪に陥る。そんな時に出会った康友のやさしさに心が揺れた。

そばにいればどうしても康友に甘えてしまう。とりあえず自分が「大人」になることだと思った。

一度離れて、もう少しだけでも康友に相応しい人間になれたら、またそばにいさせてもらおう。戻ってきた時、康友の心に自分がいなかったとしても、それはそれでいい。

 まず、さよりは水商売から足を洗った。酒を断たないと自分を変える事は不可能だったのだ。パン工場の寮に住み込み三交代でパートとして働きながら、やはり一人が寂しくて酒に頼った。我慢できなくなると、孝政に会いに行く。息子はまだ康友と暮らしている。ならばその家のドアは、今も開けてもらっているということなのだろうか。

三年経ち、五年経ち…時が経てば経つほど帰りづらくなることはわかっていた。

「今さら戻ってどうするんだ」と一番強く思っていたのはさより自身なのだ。

「待っていてほしい」と望む自分と「待っているはずなどない」と言い聞かせる自分。十年間、戦わせてきた。

「…タカは あたしのことなんて…」

もう関係ないと思ってるんでしょ?

そう訊きかけたさよりの声が途切れる。肯定されると立ち直れない。聞きたくなかった。

「うだうだ言ったって親子は親子なんだ しょーがねえだろ」

察した孝政がぼそりとつぶやく。

十年経ってさよりが変わったように、息子も大人になったのだ。受け入れられる。

「あとは父さんと話せよ 二人で決めればいいんだ

 父さんがさよりと暮らしたいって言うなら そうすればいいし」

それが孝政の本音なのだ。間が持てなくて酒が進んだのもよかった。シラフだったら、また意地を張って言えなかったかもしれない。

「ありがと タカ」

安心したさよりが手を握ってくる。

「懐くな バカ」

慌てて振り解く。

「だってあたし タカのこと大好き」

「うるせーよ バカ」

「そうだ!大きくなったタカの写真撮っとこう!」

いきなりさよりは携帯電話を取り出して孝政を撮る。

「何やってんだよっ」

「だって 写真古くなっちゃって…」

母親の取り出したサイフの中にあった写真は、三人で暮らし始めた頃セルフタイマーで撮ったものだった。三人とも緊張した面持ちでカメラを睨んでいる。

母親は、お守り代わりのこの写真を辛い時は眺めてがんばってきたのだ。

孝政は、はずかしいくらい胸がいっぱいになった。

気がつくと、向かいにさよりがいなくなっていた。きょろきょろ狭い店内を見回していると、彼女は電話をかけながら外から戻ってきた。

「うん じゃあお願いね」

電話を切ると、にっこり笑い、

「タカっ かんぱーい!」

グラスを合わせてきた。

(どうやら、さよりがあの人を呼び出してくれたようですね。
 比較的どうでもいいことなんだけどさ‥。そんな感じで結構地味にがんばってきて
 やっぱ、化粧だけは小悪魔メイクなんだね…。なちゅらるでいいと思うんですが
 …そこが…オンナゴコロ?(^^;;;←テキトー)

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コメント

大人になったのね。孝政くんっ!
ちょっと、涙が…。sweat01
さよりさんの健気さに、乾杯させて下さいっ。beerよーがんばったねっ!

投稿: あかつき涼 | 2009年7月 3日 (金) 20時11分

さよりさん、見えないところでがんばってたんですね。10年間も。
そしてタカ君も、よくグレズにまっすぐ育ったよね。
康友さんの無償の愛があったからこそだと思う。

愛ってすごい。

投稿: みわっち | 2009年7月 3日 (金) 23時16分

さよりさん、ここまで、よく頑張ったね~crying
孝政くんとも、ほんといい親子に見えるよっbearing
あの写真の中の3人にも泣けるっっsweat01
(私の頭では、勝手にすっかりドラマ化されておりますsmile

そして、あの人って誰?!やっぱりあの人??(笑)

投稿: 百瀬朝海 | 2009年7月 3日 (金) 23時36分

あかつきさん
ありがとうございます!
さよりと飲んでやってくださいっ。
それでも、親子そろって「まだまだコドモ」な感じがしますけどね(^^;;

投稿: 大田分 | 2009年7月 4日 (土) 00時42分

みわっちさん
そこなんですよっ!
なんでグレてないかなあって‥不思議(無責任)
私もね、康友と暮らしてたからだろうなって思ってるんですよ!(^^;どこまで無責任?)
親の背中ですよね。

投稿: 大田分 | 2009年7月 4日 (土) 00時46分

百瀬さん
ああ、もう‥うれしいなあ。写真まで想像してもらって、大田分冥利に尽きます!(て、何それ?)
次回は、しばらく休んでたあの人出てきます!
そろそろね、また盛り上げていかないと‥。
笑いあり、涙あり、甘くはない?(^^;;;あ!ヘンな甘さなら!

投稿: 大田分 | 2009年7月 4日 (土) 00時51分

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